四角形の歴史
赤瀬川原平の『四角形の歴史』という絵本を読んだんだけれど、やはりこの人は面白い。
そうとうおじいちゃんなはず、確か「老人力」って言い出したのもこの人なんじゃなかったっけ…。この力の抜けた感じ、全体に包まれるユーモア感覚、「何やってるんだか分からないけれど、どうやら美術関係者らしい」というポジショニング、全てが格好良い。世代によってこの人の受け取り方ってのは違うのかもしれないけれど、僕にとっては逆に新鮮な存在。
で、この『四角形の歴史』というのは、芸術作品における”フレーム”についての絵本。犬の目には風景は見えないという記述から始まり、つい最近までの人間の芸術活動も、ある意味では犬の目と同じだったという話、それから人間が”四角形(フレーム)”という概念をつくっていく過程について。
こう書くとカタイ本のように見えるけれど、実際は絵本で、文字数もものすごく少ないし、小学生でも読めるんじゃないだろうか。「こういう絵本が、あったら良いよね」と僕が思っていたポイントを、正確にドキュンと突かれたような感じで、静かな衝撃を受けた。
そして赤瀬川原平の絵が可愛らしいというか、味わい深いというか、気が利いてるというか…。文章も素晴らしいけど、やはり絵のほうも見入ってしまう。う〜ん、すばらしい。この人の本読んでると、自分もなんか作りたい!ということに、自然となってくる。
よく考えたら、卒業後2年間は何もしていないようで、実はとめどなく制作活動をしている。けれど、”自分の”作品を作っていないのは確かだ。そこが自分の中で引っかかる。相当意識しないと、あっという間に時間が過ぎていくような気がしてならない。赤瀬川原平のように泰然自若と自分の作りたいものを作っていくような感じにしていけたらいいなぁ。