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2005.12.24 日常日記

オラファー・エリアソン展

原美術館のオラファー・エリアソン展。

この人の天気シリーズは前から気になっていたのですが、イギリスに行く金など無く、いけずじまいで。

今回は「光と影」ということで、まあ題目通りの作品を展開。しかしこれが非常に良かった。

作品のひとつは、ただ、吊るしてあるモノに光を当てるだけなのだが、そのモノがゆっくりと回転するにしたがって、影の表情が驚くほど豊かに変化していく。そのときの物体の角度や、厚みなどによって光の色もさまざま。あるときは虹色、紫から赤まで、綺麗なイメージ映像を見ているかのよう。

しかしこれが実際にイメージ映像だったりすると、意外に退屈な印象を受けそうである。やはり目の前で起こっているからこその感動であろう。

やはり美術作品は、文脈で楽しむという要素が多分にあると思う。単純な装置で、日常が非日常に変わるくらいの作品が、目の前で生まれている。現象そのものだけでなく、それが成り立っている環境や条件も含めて感動しているのだと思う。

またこのエリアソンさんは、原美術館という場所に応じて作品を変化させて展示しているのも嬉しい。来年には、原美術館の屋上に常設作品を設置するようだ。この作家と原美術館の相性は非常に良いだろう。なぜなら、原美術館は民家だからだ。空間的条件・制約が多い。しかしその制約が、だだっ広い自由な空間では生まれえぬ、新しい表現や感動を生み出すことにもつながるだろう。レイノーや宮島達男、須田悦弘らも、同じように制約を受けながら非常に高質な作品を常設している。