愛・地球博
制作したドキュメンタリーが映画祭で受賞され、その関係で愛・地球博に招待された。名古屋駅構内で、朝っぱらから「みそかつ&きしめんセット」というダイナミックな食事を無理矢理腹に詰め込んで、東山線で藤が丘駅に行き、そこから噂のリニモで万博会場駅へ。リニモは、確かにゆりかもめと変わらないという感想はうなずけるが、僕はそこそこに感動した。ビジュアルがどうというより、加速の仕方が今までに体感した事の無い感覚で、なにか近未来的な感じだった。こう、摩擦が無くて、等速直線運動みたいな加速の仕方だった。これで500キロくらいスピードが出たら、もっと感動するだろう。
で、愛知万博だが、もうこれがめちゃくちゃ森を造成しているわけです。もう「平成狸合戦ぽんぽこ」の世界で、多摩センター駅の雰囲気に近い。つまり、ニュータウン的である。地面はアスファルトで埋め尽くされ、無理矢理測道に埋めた木は細くて枯れかかっている。これで「愛・地球博」とか言っているから、たぶんお金を使った国家的コメディなんだろう。
たぶん真面目にやるんだったら、もっと公園っぽいほうが良かったんじゃないのかなあ、とか思ったり。緑の芝生に、多い繁る木々。水、花、虫、鳥。それらが、至るところに置いてある「生ゴミを肥料に変えるゴミ箱」によって支えられていて、水もうまい方法で濾過されていたり、風車やソーラー発電機が立ててあって、館内の電力の何%かをまかなっていたり。つまり、循環型のテーマパーク。藤井フミアートなんかに金を出すより、そういう金の使い方をした方が、「愛/地球博」っぽかっただろうなあ。
それでもおもしろい施設はあるもので、長久手日本館にある、360度映像が見られる空間があって、それがもう未体験の超感動ものであった。以前ICCで、特別な眼鏡をかけて、360度CGの世界を歩く作品を体験したことがあったが、もう今回のはそんなレベルではないのだ。ほんとうに、映像の中に入った気分といえば良いのだろうか。僕の視覚も多いに混乱し、ただ立ち止まっているだけなのに、体は勝手に風圧を感じ、揺れ、気圧、美しささえも、これまでとはまったく違う感度で受け止められ、鳥肌がなかなか止まらなかった。
これが「日本」のパビリオンである。ほかの国のをいくつか見て、全部の国のを見た訳じゃないが、たぶん日本の360度映像が一番スゴイだろう。たぶん万博を全部見終わった頃には、誰もが「日本って、すごい。日本最高。最高リスペクト。君が代、日の丸ばんざ〜い!!」というふうになっているに違いない。つまりこれは一種のプロパガンダだな、と思った。