よく考えると毎年9月はこんな感じ
Parallels Desktopのバージョンアップに、なぜか膨大な時間が割かれているので、その間に日記でも。
先月見た映画。
イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
世界で最も有名なストリートアーティストであるバンクシーの作品。しかし映画は彼の話ではなくて、ストリートアートが大好きなティエリーが、ただ大好きなだけだったのが、アーティストとして本当に個展を開催するまでのドキュメンタリー。映像自体が面白いというものではないけれど、映画のテーマは「作品が本物なのか見極める目を持ちなさい」というもの。つまりこの映画に描かれている対象が本物か偽物かということが問われている。その構造自体をメタ的に楽しむという作品だろう。
実際に、未だに、「ティエリーはバンクシーなのでは?」という疑問が消えない。(調べたら、ティエリーはきちんと実際に活躍しているようだけれども。。。)正攻法に映画を作るのではなくて、あくまでもストリートアーティストとしてのスタンスで、自分の得意な手法を映画にそのまま持ち込んだバンクシー監督はやはりただ者ではないというか、頭いいなぁと思った。
ブンミおじさんの森
病気が悪く、森の中で療養するブンミおじさんに、死期を悟った精霊たちがやってくるという話。死期を悟った人が、世界を見る目がちょっと変わりそうな感じって、分かる気がする。そういう言葉にできない精神的な世界を、素晴らしい表現力で映像に落とし込んでいく。ストーリー自体はよく分からないところも多いのだけれども、個人的にはすべてが「意味は分からないけれどしっくりきた」。それがすごく不思議で、やはりタイの映画なので、同じ東洋的な自然崇拝的な宗教観があるからなのかな? とか思った。もしそうだとしたら、西洋人が見たらどういう感想を持つだろうか? とにかくこの作品は、小説でも彫刻でも写真でもなく、映像でないと表現できない領域を扱っているなと思った。
ラストシーン界隈の意味だけれども、僕としては、ひとつの肉体には、先祖からのあらゆる精霊が同居している、ということを表現したかったのではないかと思った。ひとつの個体が、ひとつの精神で成り立っているとは限らない。実際に先祖からのつながりの中で、自分は生きているわけだし。そういう哲学的なことも考えさせられた。