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2011.1.27 日常日記,

ツレがうつになりまして。と、焼肉。

昨夜はお義兄様夫妻と一緒に、永福町の竜王という焼肉屋さんで夕食をとった。かつて永福町に住んでいながら、この焼肉屋さんは行ったことがなかったけれど、美味しかった。特に、大好物のせんまい刺しがおいしかった。店も定食屋みたいな雰囲気がとても良かった。

ツレがうつになりまして。 その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)
別に映画になるというのは関係なく、図書館で「ツレがうつになりまして」を借りて読んだ。元気いっぱいの真面目なサラリーマンだった夫が突然うつになり、闘病する過程を、漫画家である奥さんが描く。けっこうおもしろかった。正直、あんまり相手のことを「ツレ」と言うことは好きじゃない。でもこの本の場合は、「ツレ」という言葉がすごく効いているなぁと思った。「夫がうつになりまして」だと、たぶんこの漫画の敷居がぐっと高くなる。「家長がうつになりまして」はもっといけない。いや、家長だったら逆に敷居は下がるか。

奥さんがいい具合に鈍感というかマイペースで、それもまた、好感が持てる。彼女の接し方は医学的に正しかったことも、間違ったこともあるみたいだけれど、最初から専門家という人はめったにいないわけだし、誰しもがおどおどしながら、うつの人と接することになるわけで、そこのところに正直だったことがとても良かった。

読みながら、この本が映画になるというニュースを聞いて、うつになる夫の役は誰だろう…とか考えていたけれど、個人的には、SMAPの香取慎吾さんが「ニンニン」と言っているシーンから始めたらいいんじゃないかと話していたんだけれど、妻に「そういうことは電車の中で言ってはいけません」と怒られた。

2010.12.11

宮本常一が撮った昭和の情景

  • 宮本常一が撮った昭和の情景 上巻
  • 宮本常一が撮った昭和の情景 下巻

民俗学者の宮本常一氏が、調査のために日本各地をまわったときに撮影した写真集。昭和30年代の写真を集めた上巻と、昭和40年代の写真を集めた下巻。むかしの日本の写真を見るのは楽しい。今暮らしている風景と、昔の風景というものが、本当にちゃんと繋がっているのかが、僕の中ではとても曖昧である。変な話だけれど、むかしの写真は白黒なので、昭和初期の世界って、色があったのかなぁとか、バカみたいな疑問を、頭のどこかで持っている。

しかし民俗学者というのは、同時に旅行者でもあるのだなぁと思う。とにかく色んなところを歩いて、よく見て、よく聞く。全国のいろいろな風習に関する知識が頭の中にあるから、家の屋根の形や形状を見ただけで、「西日本の家の形は東北と比べて…云々」と、思考をスタートさせることができる。ただの写真だけではなくて、こうした解説を一緒に飲み込んでいくと、想像がどんどんと形になっていって、なるほど、昔の世界と、今の世界というのはつながっているよねえ、と、ようやく頭の中で解決できるのだ。

ちなみにこの宮本常一氏は武蔵野美術大学の先生で、僕が学生だった頃には、すでに亡くなられていて、そのお弟子さんみたいな先生が民俗学の授業を受け持っていた。だから、授業内容はもっぱら宮本氏が撮ったドキュメンタリーとか、写真のスライドショーだったりして、毎回おもしろかった。特に鷹狩りのドキュメントは忘れられない。今はほとんど継承者はいないようだけれど、そういう、どこかの村で細々と何百年も続いている風習を見つけてきては、じっと観察する。その姿勢の先には必ず、宝物のような面白いものが眠っているのだなぁと思わされた。