まともだ…
五輪エンブレムの審査委員をされていた、グラフィックデザイナーの平野敬子さんのブログがとても面白いです。社会問題にまでなった今回の問題を、一審査委員の立場から丁寧に振り返って、何が問題だったのか、今後同じことが起こらないためにはどうしたらいいのか、かなり分かりやすく、整理して書かれています。
http://hiranokeiko.tokyo/
たとえば「006 利害優先の土壌」ではデザイン業界団体が内輪で不公正と思われても仕方のない審査をしてデザイナーを評価している実情に対して警鐘を鳴らしています。僕はまわりの人たちとこのことについて話したりすることもたまにありますが、実際にその団体に所属している会員の方がハッキリこうした主張をされているのを僕は初めて見ました。
また「011 秘密保持誓約書という密室」では、審査に入る前に不可解な秘密保持誓約書へのサインを要求されたことが書かれています。結果として平野さんはこれにサインしなかったことで、このブログを書く上での制限を取り払うことができているわけです。結果として審査過程に検証を加えなければならないような事態になってしまったことを考えても、これはナイス判断だったと思いますし、もしそれが僕だったら、同じようにきちんと拒否するだけの志や、適切なジャッジをするだけの正常な判断力を持ち合わせていたかどうか。。
五輪エンブレム問題は振り返って考えると「なんだかなぁ」と思うことの連続だったのですが、今回の平野さんのブログ記事をひとつひとつ読んでいくと、こういう方が五輪エンブレムの審査委員の一人だったということが、今回の問題の中での一筋の救いというか希望のように感じます。異常な状況の中で、きわめてまともで普通の主張・感覚を貫いているところに凄さを感じます。