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2005.12.21 展覧会

杉本博司展

森美術館に杉本博司展を見に行く。

うむ…興味ないらしいぞ、この展覧会の内容に。
けっこうねばってみたのですが、ダメでした。自分の見えないコンディションに問題があったのかもしれません。

作品はどれも「こだわってるなぁ…」とうなってしまう素晴らしい完成度。逆にその完成度というかスキの無さが、自分としては息苦しかった。「早く出たいなぁ…」という気持ちばかりが先行してしまった。

でも直島に直接見に行った護王神社の作品は、すごく良かったわけです。あれは息苦しく感じなかった。なんでだろう。

そういえば直島のレギュラー陣(安藤忠雄、杉本博司、ジェームズ・タレル)って、何か似たものというか、共通項を感じる。地中美術館などはどう考えたって格好いいし美しいのだが、やはり入ったとたん「息苦しい、早く出たい」と思う。正三角形の庭を囲うコンクリート壁など、見ていると気がおかしくなりそうだ。ジェームズ・タレルに至ってはあまりの事態にしばらくパニックになってしまったくらいで。(作品としてはタレルが一番好きだったけど)

ひとつ関係なく思うのは、森美術館てのは、どうにも好きになれない美術館です。いままで色々な美術館に行ってきたけど。

なにかこう、僕の中では、美術館と図書館ってのは似てるわけです。いや正確に言うと、図書館のにおいのする美術館がすきなんだと思う。

だけど、森美術館はどうにも、図書館のにおいがしない。あるいは、あの雰囲気で本が置かれていたら、僕は耐えられない。実際、あそこにあるミュージアムショップには行く気がしない。

ちなみに好きな美術館は、川村記念美術館と、原美術館です。川村は大日本インキの敷地内に入った瞬間から感動する。原美術館は、なんか優しくて包まれているよう。

2005.12.14 展覧会

ゲルハルト・リヒター展

千葉の川村記念美術館にある「ゲルハルト・リヒター展」に行きました。

いや期待以上に良かった。僕には作ろうにも作れないような作品群だったけれど。彼の作風を僕なりに言うと「見えないレイヤー手法」だと思っているんですが、対象物までにはいくつもの透明のレイヤーが張られているように感じました。いい意味で突き放している印象を持ちました。

その「見えないレイヤー」そして「目に見えるレイヤー」含めて、非常にフォトショップ的な構造なんですが、彼の場合は実にアナログで(そりゃキャンバスに塗ってるんだからねぇ)それが良いなと。つまり生で、目の前で見て、触るように見ることのできる作品群だなと。ふだんは図版集めに必死な僕ですが、彼の場合、図版にするとその「見えないレイヤー」「見えるレイヤー」などの意味や表現の奥深さがすべて消失してしまうような気がしました。まあこういうことは、あらゆる作品について言えることなのだろうが。